さざなみ読書録

29歳のペーペー社会人が主に本の感想、ごくまれに創作物などを不定期で投稿します。さざなみも立たないような日常。

【日記】木が怖い

今日、とつぜん、木が怖くなった。

 

今日は外を眺めていることが多かった。今日の仕事は15分ごとのアナウンス。そのほかは、ほとんどずっと待機だったからだ。

外にも行けず、ものも食べられず、無為に時間が過ぎていくことが耐えられなかった僕は、窓から見える景色を何度も何度も見直していた。

 

窓から見えるもの。隣の棟のクリーム色の建物。50mほどの長さで自分のいる棟と並行になっているそれは、今時珍しい二階建てで、自分のいる二階からは棟の間の中庭が見渡せた。

建物同士の間には、それぞれの棟に沿って木がそれぞれ何本か植えられている。

こちら側の方が自由気ままに、そして長い間枝を広げ続けている。いくつかの幹は切り落とされてか風雨に飛ばされてか、途中で途絶えている。隙間からうろを覗かせているものもあった。

自分が眺める窓の一番近くにある木、その力強い根、うろができたら自分がすっぽり収まってしまいそうな幹、奔放に、しかし確実に上へと伸び続けている枝、風にはためいて乾いた音を鳴らし続ける葉。

これらを下から上へと眺めた時に、突然、言いようのない恐怖が僕の足元から這い寄ってきた。

その大きさに、そのあまりの包み隠さない生命に、動かないはずのものが上は上へと枝を伸ばし続けている事実に、僕は完全に恐れ慄いた。

 

あんな生命の塊がよいしょ、と根を掘り起こして、のしのしとこちらへ向かってきたら、ちっぽけな僕は何もなす術がないじゃないか。木は動かないと言いながら、こいつは今も、上へ上へと動き続けているじゃないか。

そんな木が、職場の敷地内にも夥しい数ある!

 

もちろん、木が歩くわけもなく、今日も次世代もこの木とは持ちつ持たれつの関係を続けるのだろうが、なるべく木を怒らせることはしないようにしよう……と思った。

 

ちなみに、もしかしたら同じことを思っている人がいるかもと思って「木 怖い」でググってみたが、木をホラーの小道具に使うものばかりで、木そのものへの恐怖が書かれた情報はなかった。