さざなみ読書録

29歳のペーペー社会人が主に本の感想、ごくまれに創作物などを不定期で投稿します。さざなみも立たないような日常。

【3日目】カフェについて

 たぶん、カフェについては何度かに分けて書くことになる。

 

 研究、修論執筆、採用試験勉強、絶望的な暇つぶしとここ2年の間に耐えるターンがしばしばあった。その期間、印象的なシーンのほぼすべてはカフェと言っても過言ではないくらい、カフェに通っていた。大学の図書館には併設のスターバックスがあったから、そこのキャラメルのフラペチーノ(結局最後まで名前は覚えられなかった)の5%は僕が消費しているはずだ。今もスターバックスにはテイクアウトでお世話になっている。スターバックスについてはまた書こう。

 

 激烈に濃かった2年間の中で、忘れられないカフェが2つある。今日はそのうちの一つについて、少しだけ書く。

 

 1つ目は天白区にあるMという店である。まずはこの店、内装が最高にいい。店内は確か8人ほどが掛けられる大テーブル1つ、小テーブル3~4つ、キッチンと窓に面した4人掛けほどのカウンターがそれぞれ1つ、といった小ぢんまりした感じである。壁には大きな本棚があり、当時村上春樹にドはまりしていた僕は『羊をめぐる冒険』がハードカバーでおいてあるのを見て心の中で小躍りした覚えがある。

 またコーヒーもとてもおいしい。僕は初めて行く店ではあれば必ずウインナーコーヒーを頼む癖があるが、クリームがどの店より軽く、また濃かったことが印象に残っている。

 

 行くきっかけは学科の後輩の子にオススメされ、たまたまデートに使える場所に困っていたから。今思えばとんでもなく不純である。その後しばらく最寄りへの用事ができたので、2019年の年末は何度か一人でそこに足を運んだ。

 そこでの読書は一味違った。僕は小説を開いてから読むまでに苦労を要するタイプだが、店の中では、本を開いて初めて自分がカフェの一部になったような感じがし、それから読書世界までは一瞬であった。稀有な体験だった。

 

 太宰治の『人間失格』、有川浩の『塩の街』を読了したのもそのカフェだったはずだ。読書の記憶と、あの店内の雰囲気が紐づけられている。

 

 もう少し子細に書きたいが、時間が差し迫っているので今日はここまでにしたい。

次回は二つ目のカフェについて書く。